マルチ商法の勧誘に使われる「ABC方式」は、初心者を巧みに取り込むための仕組みとして注目されています。
この方式は特に心理的なテクニックが多く盛り込まれており、知らず知らずのうちに巻き込まれるケースも少なくありません。
今回は、「A・B・C」という3人の役割を中心に、その具体的な構造と狙いをわかりやすく解説していきます。
マルチ商法における「ABC」とは何を指すのか?
マルチ商法でよく使われる「ABC方式」という言葉は、初めて聞く人にとってはなじみがないかもしれません。
この方式は、勧誘の現場で特定の役割分担がなされる特徴的な手法です。
まずはこの「ABC方式」がどのようなもので、なぜ使われているのかを見ていきましょう。
ABC方式はマルチ商法特有の勧誘手法である
ABC方式とは、マルチ商法やネットワークビジネスで広く使われている特有の勧誘方法です。
これは、勧誘の場面で3人の人物が登場し、それぞれの役割を担うことで自然な流れを演出し、ターゲットを説得する手法です。
この方式では、単なる一対一の勧誘ではなく、複数人による構成で心理的な圧力や信頼感を生み出すことを目的としています。
結果として、断りにくい雰囲気が生まれ、勧誘の成功率が高まる仕組みとなっているのです。
「A・B・C」は勧誘に関わる3人の役割を示す言葉
「A・B・C」とは、それぞれ勧誘に関与する人物の立場を表しています。
「A」は新規に勧誘されるターゲット、「B」はそのターゲットに接触する中間役、そして「C」は成功者として登場する人物です。
この3人が連携し、それぞれの役割を果たすことで、自然で信頼感のある勧誘ストーリーが完成します。
特に「C」の存在が話に説得力と魅力を持たせる重要な役割を果たします。
初心者が参加しやすくなるよう設計された構造である
ABC方式は、マルチ商法に不慣れな初心者でも参加しやすくなるように設計されています。
いきなり「C」から勧誘されると警戒される恐れがありますが、「B」という知人や友人が間に入ることで警戒心が和らぐのです。
また、「C」が語る成功体験や人脈の広さが、憧れや希望を刺激しやすい構成になっています。
このようにして、初心者が安心しつつ興味を持ちやすい環境が意図的に作られているのです。
「A・B・C」のそれぞれの役割と立ち位置を解説
ABC方式では、3人の人物がそれぞれ異なる役割を担いながら、巧みに勧誘を進めていきます。
この分担があるからこそ、相手に警戒心を抱かせずに話を展開できるのです。
ここでは「A」「B」「C」の役割と、それぞれがどのように立ち回るかを詳しく見ていきましょう。
「A」は新規勧誘のターゲットとなる人物
「A」は、まだマルチ商法の仕組みや目的を知らない新規のターゲットです。
多くの場合、友人や知人からの誘いで、食事やお茶の場に呼び出されます。
この時点では、勧誘されるとは思っておらず、単なる再会や雑談だと考えていることがほとんどです。
そのため、「A」は心理的に無防備な状態に置かれ、話を受け入れやすい立場となっています。
「B」は勧誘を行う中間的な立場の人物
「B」は、ターゲットである「A」ともともと面識のある人物です。
友人や同僚、知人など、ある程度の信頼関係が構築されていることが多いです。
「B」の役目は、自然な形で「A」を勧誘の場に導き、「C」との接点を作ることです。
そのため、「B」は強く売り込まず、あくまでも“ちょっと話を聞いてみない?”という緩やかな誘導を行います。
「C」は成功者のように振る舞う上位メンバー
「C」は、マルチ商法の組織内で実績を上げている、もしくは上げているように装う人物です。
ブランド物のバッグや時計、高級車や自由なライフスタイルの話などで成功を演出します。
「A」にとっては初対面であることが多く、その分だけ「C」の話には新鮮さと説得力があります。
まるで夢を見せるかのような語り口で、「こんな未来が自分にも訪れるのかも」と錯覚させるのです。
「B」が信頼関係を築き、「C」が権威性を演出する
このABC方式の最大の特徴は、「B」と「C」が役割を分担して心理的な仕掛けを行う点です。
「B」は身近な存在として信頼感を与え、「C」は成功者としての権威性を演出します。
この二重構造によって、「A」は警戒心を持たずに話を聞きやすくなり、話に引き込まれやすくなります。
日常の延長のように進む会話の中で、自然と勧誘が行われていくのです。
それぞれの役割が巧妙に分担されている理由
ABC方式で役割が明確に分かれているのは、効率よく勧誘を成功させるためです。
一人が全ての役割を担うと、警戒されたり、不信感を抱かれたりするリスクが高まります。
「B」と「C」が別々の人物として登場することで、会話にリアリティが生まれ、「A」の心のハードルが下がるのです。
このような構造は、営業心理や説得術のノウハウを応用して緻密に設計されており、非常に巧妙です。
なぜABC方式がマルチ商法で使われるのか?その狙いと背景
マルチ商法でABC方式が繰り返し用いられるのには、明確な理由があります。
それは、単なる勧誘を超えて、相手の心理に働きかける巧妙な仕組みがそこにあるからです。
以下では、ABC方式が持つ効果や、その背後にある意図を解説していきます。
「信頼」と「権威」の二重構造で心理的抵抗を下げるから
ABC方式では、「B」が信頼、「C」が権威という役割を担い、それぞれが異なる方向から「A」の心理にアプローチします。
知人である「B」は親しみやすさと安心感を提供し、成功者である「C」は信じたくなるような実績を見せてきます。
この“信頼+権威”のダブル構造が、相手の警戒心を一気に下げる要因となっています。
人は信頼する相手からの紹介や、成功している人の言葉に弱い傾向があるため、この組み合わせは非常に効果的なのです。
初心者が断りづらい状況をつくるために利用されるから
ABC方式は、心理的に「断りづらい空気」を意図的につくり出すために設計されています。
「B」が長年の友人や身近な存在であることで、断ることで関係が壊れるのではという不安が生まれます。
さらに「C」が現れることで、場の雰囲気が一気にビジネスモードになり、流れに逆らうことが難しくなります。
このようにして、「NO」と言えない空気感が構築されていくのです。
効率的に多人数へ勧誘を広げる仕組みとして機能するから
マルチ商法の目的は、商品を売るだけでなく、人を増やすことにあります。
ABC方式は、その拡大をスピーディーかつ効率的に行うための手段として使われています。
「B」は複数の「A」を紹介しやすく、「C」は同じ話を何度も使い回せるため、一つのパターンを繰り返すだけで拡大が可能です。
このシステム化された動きが、マルチ商法の拡張力を支えているのです。
会話の流れが台本化されており勧誘成功率が高まるから
実際のABC方式では、会話の展開や質問の仕方までもがマニュアル化されていることが多いです。
「C」が語る話の流れや、「B」の誘導のセリフなど、あらかじめ練習された台本のようになっているのです。
これにより、感情的なブレや話の脱線が少なくなり、スムーズな勧誘が実現されます。
ターゲットが抱きそうな疑問への回答もあらかじめ用意されているため、説得力が高く、成功率が上がるのです。
ABCを使った典型的な勧誘の流れと具体例
ABC方式は、勧誘の流れが非常に緻密に設計されており、まるで「偶然」のように感じさせる巧妙な演出が随所に散りばめられています。
この構造に気づかないまま話に引き込まれる人も多く、非常に危険な側面を持っています。
ここでは、その典型的な流れを具体的に紹介しながら、どのように人が勧誘されていくのかを見ていきましょう。
まずは「B」が食事や雑談を通じて接点を作る
勧誘の始まりは、親しい関係にある「B」からの気軽な誘いが多く見られます。
「久しぶりにご飯でもどう?」「ちょっと話したいことがあって」など、自然な形で会う約束を取りつけます。
この時点ではマルチ商法の話は一切出てこないため、ターゲットである「A」も警戒心を持たずに応じてしまいます。
日常会話や近況報告を交えることで、リラックスした雰囲気が作られていくのです。
会話の途中で「たまたまCが来る」という流れを演出
食事や雑談の最中、「たまたま近くにいるから少し顔出すって」といった形で「C」が登場します。
これも実際には計画された演出ですが、偶然のように見せかけることで自然な流れを装います。
「B」が「C」を紹介する際には、「この人、すごい成功しててさ」といった持ち上げ方をし、興味を引く土台を作ります。
「A」は突然現れた第三者に戸惑いつつも、話の流れに合わせて聞き手へと回っていきます。
「C」が成功体験を語り興味を引きつける
「C」は自身の過去の苦労話から始め、どのようにして今の成功を手に入れたのかを物語のように語ります。
収入の話や時間の自由、理想のライフスタイルなどを強調し、「夢を叶えられる仕組み」として話を展開します。
この段階で、「A」は自分も同じようになれるのではと感じ始めることがあります。
具体的な金額や旅行のエピソードなど、感情に訴える内容が多く盛り込まれるのが特徴です。
その場での即決を促すようにプレッシャーをかける
「C」の話が終わると、すかさず「B」が「せっかくだし、話もっと聞いてみない?」と背中を押します。
その場で参加の意思を確認したり、説明会への予約を促したりと、即決を迫る流れに移ります。
このとき「今決めないとチャンスがなくなる」「人数制限がある」など、急かすようなセリフが使われがちです。
判断の時間を与えず、その場の熱に乗せて決断させようとするのです。
断りにくい空気を作るための演出が多用される
一連の流れの中で、断りにくい空気感を意図的に作り出す工夫が随所に見られます。
「B」の前では無下にできず、「C」には憧れや敬意を持たされ、心理的に強く揺さぶられるのです。
さらに、「他にもこの仕組みで成功した人がいる」と写真を見せたり、体験談を紹介したりして信憑性を高めます。
このような演出が重なることで、「断るのが悪いことのように感じる」状況が作り出されるのです。
ABC方式に引っかからないための注意点と見抜き方
ABC方式は巧妙に設計されているため、気づかないうちに話に乗せられてしまうケースが少なくありません。
しかし、いくつかのポイントを事前に知っておくだけで、勧誘の兆候を見抜き、防ぐことが可能です。
ここでは、ABC方式に引っかからないための具体的な注意点と対処法を紹介します。
突然の食事や再会の誘いには警戒すること
しばらく連絡がなかった知人から突然「会いたい」「ご飯に行こう」と誘われたら、まずは慎重に判断しましょう。
とくに「ちょっと話したいことがある」「すごい人を紹介したい」といった言葉には注意が必要です。
誘い方がやけに熱心だったり、日時をやたらと指定してきたりする場合、それは勧誘の前兆である可能性が高いです。
誘いを受ける前に「何の話か」を明確に尋ねるようにすると、不自然さに気づけるかもしれません。
第三者が急に会話に加わったら要注意であること
食事の最中や雑談の途中で、「たまたま近くにいた」などと言って第三者が加わってきたら、警戒レベルを上げましょう。
ABC方式では、この「C」が演出の中心となり、成功体験などを語り始めることが多いです。
自然な会話に見えても、実はすべてが計画的で、あなたの心理を揺さぶるためのシナリオになっている可能性があります。
第三者の登場が偶然に思えたとしても、それが不自然に感じられたなら、距離を置く判断が大切です。
成功話ばかりを語る相手には冷静に疑問を持つこと
「自由な生活が手に入った」「月収○○万円になった」など、成功談ばかりを強調する人には慎重になりましょう。
本当に有益なビジネスであれば、リスクや苦労なども正直に語られるはずです。
片側だけの良い話しか出てこないときは、それが誇張や演出である可能性を考えるべきです。
夢のような話に流されず、「なぜ自分にそんな話をするのか?」という視点で考えてみましょう。
話が抽象的で具体的な商品や仕組みを教えない場合は疑うこと
マルチ商法の勧誘では、最初の段階で「商品が何か」「どういう仕組みで収益が得られるのか」といった情報がぼかされがちです。
「とにかくすごいから」「まずは話を聞いてみて」など、抽象的な言葉でごまかすケースが多いです。
具体的な説明を求めても明確な答えが返ってこない場合、それは何かを隠しているサインかもしれません。
「詳しい人に聞いてほしい」と話をCに振るのも、典型的な流れなので注意が必要です。
一度持ち帰って考える余裕を持つこと
勧誘の場では、「今決めたほうが得」「すぐに行動する人が成功する」などと、即決を迫られることが多いです。
しかし、重要な判断をその場の空気だけで下すのは危険です。
たとえ魅力的に見えても、一度家に帰って冷静に考える時間を持つことが、自分を守る最大の防御になります。
本当に信頼できる話であれば、時間をかけて判断しても問題はないはずです。
マルチ商法のABCについてまとめ
ABC方式は、マルチ商法の勧誘において非常に多く使われている典型的な手法です。
「A」「B」「C」という3人の役割を使い分けることで、自然な流れで勧誘を進め、心理的な抵抗感を低く抑える仕組みが構築されています。
「B」が身近な存在として信頼を築き、「C」が成功者として憧れや尊敬の感情を引き出すことで、「A」は話を受け入れやすくなります。
この構造は初心者が断りにくくなるよう巧妙に設計されており、さらに効率的に人を増やすための戦略的な台本でもあります。
しかし、こうした勧誘手法にはリスクが潜んでいます。
「信頼」「成功」「偶然」といったキーワードで心を揺さぶる流れに流されず、冷静な判断を持つことが非常に大切です。
本記事で紹介した注意点を踏まえ、万が一の場面でも落ち着いて対処できるよう備えておきましょう。
